陰陽師は式神(オニ)使いが荒い・弐

アクションシーンといえば神将。情報収集から迷い人探しに都の胴体着陸補佐、と労災認定してやりたい彼らの働きぶり。
安倍晴明公がお使いになったという十二神将、諸説ある中『王都』ではどれがルーツか?

拾遺「化石の海」完結編では「天将十二神」という単語が出て来ている。
「天将十二神」という場合のルーツは陰陽道の十二神将。
陰陽道の、はっきり言って難解極まりなく、つくづく陰陽師の奇人ぶりが思われる占いの1つに六壬式占(りくじんちょくせん)という物がある。
で、その六壬式占の判断材料の中にその日の干支と天将十二神との相性(…だよな)があって、……だぁぁぁぁわっかんねぇぇぇ!

安倍晴明公の時代の十二神将は仏教のそれとは別物。仏教の夜叉神将は、中世になって陰陽道の十二支と習合したのだそうだ。
陰陽道での十二神将の名前は六壬式占に用いる2枚の板の内「天板」と呼ばれる方に刻まれたり書かれたりしている。
詳しい記述は安倍晴明公ご本人の著作『占事略決』(六壬式占の悩み別占い方マニュアル)より抜粋しよう。出典は村上修一『日本陰陽道史総説』139〜169ページ。

十二将所主法第四
前一騰*火神家在巳主驚恐怖畏凶将
前二朱雀火神家在午主口舌懸官凶将
前三六合木神家在卯主陰私和合吉将
前四勾陳土神家在辰主戦闘諍訟凶将
前五青竜木神家在寅主銭財慶賀吉将
天一貴人上神家在丑主福徳之神吉将大无成
後一天后水神家在亥主後宮婦女吉将
後二大陰金神家在酉主弊匿隠蔵吉将
後三玄武水神家在子主亡遺盗賊凶将
後四大裳土神家在未主冠帯衣服吉将
後五白虎金神家在申主疾病喪凶将
後六天空土神家在戌主欺殆不信凶将

…何のこっちゃ意味不明だとおっしゃるか。要するに

騰*(とうしゃ) / 朱雀(すざく) / 六合(りくごう) / 勾陳(こうちん)
青竜(せいりゅう) / 貴人(きじん) / 天后(てんごう) / 大陰(だいおん)
玄武(げんぶ) / 大裳(たいもう) / 白虎(びゃっこ) / 天空(てんくう)

が彼らの名前である。
「しゃ」は字が出ないので各自紙に書いて欲しいのだが「むしへん」に「也」である。
『占事略決』意外の資料では「蛇」の字をあてて「騰蛇(とうだ)」とする資料があり、大裳についても「大常(たいじょう)」とする資料がある。

仏教の薬師如来の眷属の十二神将(夜叉大将)が晴明公の式神だという資料もある。確かに晴明は『王都』で「夜叉神将」という言い方をしていた。
中世以後の、仏教の十二神将と十二支の結びつき等について簡単に述べれば

毘羯羅(びから)大将   子神、五行は水
招杜羅(しょうとら)大将  丑神、五行は土
真達羅(しんだら)大将  寅神、五行は水
摩虎羅(まこら)大将   卯神、五行は木
波夷羅(はいら)大将   辰神、五行は土
因達羅(いんだら)大将  巳神、五行は火
珊底羅(さんてら)大将  午神、五行は火
**羅(あじら)大将   未神、五行は土
安底羅(あんてら)大将  申神、五行は金
迷企羅(めきら)大将   酉神、五行は金
伐折羅(ばさら)大将   戌神、五行は土
宮毘羅(くびら)大将   亥神、五行は水

となる。**羅の「あ」は「安」+「頁」、「じ」は「にんべん」+「尓」(旧字体では「にんべん」+「爾」)。こういう特殊な漢字って苦労するわ。

ドラマCD『化石の海』では晴明が十二神将の名を叫ぶ場面が存在する。
CDでの十二神将の内6人が仏教の十二神将なのは上述でお判りの事と思うが(赤字がCDドラマに出た名。なお、宮毘羅は番外編「夜天煌」にも名が挙がる。)、残り6人中3人は北斗七星が由来である。
北斗七星は「柄杓のマス」の先(α星)から順に(赤字はCDドラマに出た名)

貪狼星(どんろうせい)
巨門星(きょもんせい)
禄存星(ろくそんせい)
文曲星(ぶんきょくせい)
廉貞星(れんていせい)
武曲星(ぶきょくせい)
破軍星(はぐんせい)

となっている。後の3人は…私には判らない。誰かご存じの方、どうか教えて下さい!!

というワケで、『王都』の十二神将は陰陽道の「天将十二神」 という呼称を与えられつつ仏教をベースにし(原作で明らかになっているのは宮毘羅のみだから)、ついでに道教(北斗七星信仰)も取り入れられているかもしれないチャンプルー状態なのである。

「化石の海」完結編にて、暴走している時は鬼の姿だったのに晴明を約定を結ぶや全員美形になったというのは、やはり「ペットは飼い主に似る」というヤツなのであろうか。(その壱「緋の祭文」のは意図的に無視)
とすると、もし影連と約定を結んでいたらミョ〜にアヤシく……いや、妖艶になっていたのか!!?


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