まずは人を知れ-藤原彩子編-

才色兼備・文武両道な昭陽舎女御。将之の姉にして帝の寵姫。
(CD版キャスト:佐々木優子・勝生真沙子 / TV版キャスト:羽田美智子)

どうやら将之は彼女をよほど誇りに思っているらしく(そりゃそうだ)その貳「琥珀の迷境」では知り合って間もない晴明に「見せびらかして」いる。が、同時によほど畏れてもいるらしい。姉には勝てぬ弟の悲しさよ。
ちなみに彩子さまの第一印象は

しかし「見せびらかす」と聞いて「だって…将之さまの姉上でしょ?」と考え込んでしまった藤哉の心境は察するに余りある。

昔は将之の武芸の師匠だったらしい彼女の実力はというと野盗どもをあっさりのしてみせる程度【番外編「夢語り夢紡ぎ」】。
馬上で刀を振るって暴走牛車を止めた事も。【その参「呪縛の杜」】
左近の少将に「戦力」と言わせるだけある。【「夢語り夢紡ぎ」】

意外に受難の彩子さま。

…最後のが一番キツいな。

およそ実のない話ではあるが、昭陽舎女御で帝の寵姫で父親が右大臣と言えば村上天皇女御で後の冷泉・円融天皇を産んだ藤原安子が有名。
ちなみに昭陽舎は別名「梨壺」。梨の木が植えられている事からのネーミングで、ついでに言うと何のかのと彩子さまを敵視する飛香舎女御がおはしますのは「藤壺」、その壱「緋の祭文」で落雷が起きた凝華舎(ぎょうかしゃ)は左大臣さまの台詞にある通り「梅壺」。襲芳舎(しほうしゃ)だったら笑えたね。別名「雷鳴壺(かみなりつぼ)」だから。

ところで、女御は「帝の愛妾」と思われがちだが「帝の寝所に仕える者」というのが正式な表現で一応公務である。勿論位も授けられる。男女とも位が五位以上でなければ帝には会えない。


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