『王都』古典ガイド

言うまでもなく完璧な物ではない(大いばり)。
『王都』古典ガイドというよりは『王都』登場人物の出て来る説話ガイドですね。
下記リストは番外編『冥姫』発表前に作成されたものなので、小野篁についてはノータッチです、すみません。
ついでに、作品の並び順は全くのランダムです。(将来的には成立年代順にします)

『日本霊異記』
(詳細未確認)
その拾八「鬼神志願」 参照。恨む相手とその縁者を殺し尽くしても浮かばれない怨霊。

『古今和歌集』
巻8 離別歌
その六「夢違え」その拾壱「妖星」参照。「おもへども…」の歌は恋歌ではありません(笑)。

『今昔物語集』
巻第19-4 「摂津の守源満仲、出家せる語」
巻第19-24「師に代わりて太山府君の祭の都状に入りし僧の語」
巻第20-2 「震旦の天狗智羅永寿、この朝に渡れる語」
巻第20-8 「良源僧正、霊となりて観音院に来たり餘慶僧正を伏したる語」
(※本文欠脱)
巻第20-45「小野篁、情けに依りて西三条の大臣を助ける語 」
小野篁が死者の蘇生を冥府と交渉する話。
巻第24-15「賀茂忠行、道を子の保憲に伝える語」
巻第24-16「安倍晴明、忠行に従いて道を習う語」
その参「呪縛の杜」拾遺「水の行方」参照。
一巻「余談こぼればなし」にて、岩崎先生をして「根性の悪い晴明サマがおステキ…」といわしめた話である。
巻第24-17「保憲と晴明と共に覆いたる物を占う語」
(※本文欠脱)
巻第24-19「播磨国の陰陽師智徳法師の語」

『宇治拾遺物語』
巻2-8 「晴明蔵人少将封ずる事」
拾遺「化石の海」その参参照。読めば解る、何故『王都』では「少将」でなく「姫君」になったのか。
巻4-17「慈恵僧正戒壇つきたる事」
宴会芸には苦労しない坊主らしいです、この人。
巻11-3「晴明を試僧の事」
『今昔物語集』巻第24-16と重複。だから根性が悪いんだってば、彼は。
巻11-3付「晴明かへるを殺事」
これも『今昔物語集』巻第24-16と重複。しつこく根性悪。
巻12-3「慈恵僧正受戒の日延引の事」
巻14-10「御堂関白の御犬晴明等奇特の事」

『平家物語』剣巻
詳細は「考察拾遺集」の項参照の事。

長門本『平家物語』巻第五
中宮御産のくだりで、その伍「鬼神楽」の「竈に茸」の話が聞けます。
どうやらこちらの晴明の方が一枚上手なようで。

『源平盛衰記』
巻第三 「法皇熊野山那智山御参詣事」
巻第十「中宮御産事」
鬼が恐くて実家に帰ってしまう奥方と、式神を戻橋に隠す旦那さん。

『古今著聞集』
巻第7 術道第9 295「陰陽師晴明 早瓜に毒気あるを占ふ事」

『大鏡』
第1巻 65代 花山院
晴明登場。式神は目に見えないけれど声は一般人にも聞こえるらしく。

『古事談』
巻6 亭宅諸道 64「晴明花山院ノ前生を見顕ハシテ病因ヲ語ル事」

『男色大鏡』巻1「垣の中は松楓柳は腰付」
……詳しくは「邪推が後を断たず!どうにかしろあの2人」参照。ふぅ。
フォローしておくと、件の文の後には「女性は化粧で顔を変えられるから」という旨の文が続きます。

他に『続古事談』『無名抄』などなど、叩けばいくらでもホコリが…もとい、探せばいくらでも古典に『王都』キャラが見つかる。『信太妻』関連は「安倍晴明出生の謎」の項参照の事。

2004.03.01追記:「LONESOME CITY」(管理人:伊月学さん)の「Books」カテゴリ以下にある「安倍晴明関連参考文献」のページが『王都』、および夢枕獏『陰陽師』に関連する人物の登場する説話についての詳細なリストをお持ちです。


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